双極性障害とは
双極性障害は、気持ちが極度に落ち込む抑うつ状態と、逆に極端に気分が高揚する躁状態を繰り返すもので、「躁うつ病」とも言われます。抑うつ状態は現れますが、うつ病とは違う病気で、治療法も異なるため、診断には注意が必要です。
100人に1人程度が発症すると言われ、躁状態にあるときは本人に病気であるという認識がなく、治療が積極的に行われない場合がありますので、気を付けなければなりません。
躁状態とうつ状態は数ヶ月~数年の間隔で繰り返されますが、場合によっては短い間隔で頻繁に繰り返すタイプもあります。
また、躁状態とうつ状態の間に正常な状態となる期間が見られるケースもありますが、躁状態から突然うつ状態に変化する場合もあります。躁状態の現れ方などは患者さまによって異なりますので医師の診断を受けることが大切です。
双極性障害の主な症状
抑うつ状態について
- 気持ちがふさぎ込んでしまい、辛く憂うつな気分が一日中続く
- あらゆることに対する興味や関心がなくなり、何をしても楽しくない
- 自分を責める気持ちにさいなまれる
- 悲観的になり、時には死にたいという気持ち(希死念慮)にとらわれてしまう
- 睡眠障害や食欲の変化、倦怠感や疲労感など身体的な症状も現れる
- 気が焦るばかりで、物事が手に付かない
- 集中力が低下する など
躁状態について
- ほとんど寝ないで動き回り、疲れを感じず、家族や周囲の人にしゃべり続け、相手の迷惑を考えない
- 仕事や勉強などに精力的に取り組むが、複数の事に気が散り、目標を達成することができない
- 気が大きくなり、高額な買い物をしてしまう。時には多額の借金を作ってしまう
- 失敗の可能性が高いにも関わらず手を出し、社会的信用を失ったり、仕事を辞めなければならなくなったりする
- 自分に特別な能力があると思い込む
- 性的に無分別な行動をしてしまう など
双極性障害の治療
双極性障害の治療としては薬物療法が基本となりますが、その際に重要なのは双極性障害なのか、うつ病なのかを慎重に診断することです。双極性障害であるのにうつ病と診断してしまい、安易に抗うつ薬を用いてしまうと、急激に躁状態を引き起こす危険性があります。
双極性障害と診断された場合には「気分安定薬」を使用します。抑うつ状態と躁状態の間を大きく振れ動く気分の状態をコントロールすることにより、どちらの状態にも効果が期待できます。中心的に使用される薬剤は炭酸リチウムで、他にバルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、非定型抗精神病薬などがあります。
これらの薬剤には副作用もあるため、服薬が適切かどうかを慎重に判断する必要があります。
双極性障害のもう一つの治療の柱として、認知行動療法などの心理療法があります。ものごとの捉え方や問題となっている行動を見つめ直し、自分の陥りやすい思考や感情パターンに気付かせていきます。これにより、心を上手くコントロールできるようになることを目指します。早期に治療を開始することで、患者さまご本人や、周囲への影響が大きくなることを抑えることができますので、早めの受診をお勧めします。