address
名古屋市中区錦2丁目17-28
CK15伏見ビル2F
phone052-201-3731

広汎性発達障害pdd

広汎性発達障害とは

親子

広汎性発達障害(PDD/Pervasive Developmental Disorders)は、行動や物事に強いこだわりを持ったり、上手に対人関係を築くのが難しかったりなどの症状が見られ、日常生活や仕事において支障をきたす場合のある障害です。

生まれつきのものであるため、大人になってから発症するものではありませんが、幼少期に気が付かず、社会に出てから気づいて診断を受け、判明するケースもあります。広汎性発達障害は、「自閉症障害」「レット障害」「小児期崩壊性障害」「アスペルガー症候群」「特定不能の広汎性発達障害」の5つの障害の総称です。

現在では、「レット障害」を除いた4つが「自閉スペクトラム症」という診断名に統合されており、広汎性発達障害とは、ほぼ同じ群を指すものとなっています。

広汎性発達障害の症状

症状として現れる特徴は、ひとつには「人との交流(対人関係)やコミュニケーションの質に問題がある」、もうひとつは「興味を抱く範囲が限局的で、パターン的な行動をとる」ことです。また、想像力の欠如といった特徴が挙げられます。

対人関係の問題では、人との関わりを求めず独りでいることが多く、人と眼を合わせない、身振りや表情などで思ったことを伝えるのが苦手、その場の流れや空気が読めないといったことが挙げられます。またコミュニケーションの問題では、会話の相互のやり取りが難しい為一方的になってしまう、言語による指示が理解できない、場にそぐわず話し続ける、オウム返し(反響言語)をするなどが認められることがあります。

想像力の欠如では、目の前にある事しか捉えることが出来ず、物事の裏側の流れや仕組み、成り立ちや本質的なあり方などを理解出来ずに、物事を表層的に理解することしかできない傾向があります。

さらに、日常生活において、同じ動きや言葉を繰り返す、食事や生活習慣でパターン的な行動をとる、又、ある特定の分野だけに拘りや興味を強く持ち、その分野に関してだけ知識が豊富で、他のことには全く無関心、ということもあります。

また、五感の感覚のいずれか、または複数の感覚が過敏で、例えば音や臭いに敏感で地下鉄等に乗れない、日光の光がまぶしい、衣服の感触が辛くゆるい服しか着られないなど、生活の様々な場面で他人には分からない苦労が多く、対人関係やコミュニケーションの障害と相まって、絶えず「生き辛さ」を感じてきているという場合も多々あります。

こうした傾向のある人が思春期や青年期になると、自分と他者の違いに気づいて悩んだり、周囲との対人関係で問題が生じたりするなどの要因から、不安障害、うつ病、双極性障害などを合併する場合もあります。

広汎性発達障害の治療

広汎性発達障害では早期の診断が大切で、幼児期に診断された場合は「療育」によってコミュニケーション能力や適応力を伸ばし、対人関係における不安の軽減、学校など集団活動への参加意欲の向上を図っていくことができます。保護者を始めとした周囲の理解も深まり、成長を見守っていく環境も醸成されていきます。

最近は大人の発達障害の方も増えてきていますが、大人の場合も同様であり、本人の社会性の向上を図り、社会的適応力や自己理解の成長を見守るのは同じです。

広汎性発達障害では、こだわりの強さなどの問題を周囲が理解し、その人の「個性」であるとして認識し、社会への適応をサポートしていくことも大切です。周囲の環境や状況によっては大きく成功する人もいますし、逆に孤立してしまう場合もあります。早期に診断し、介入して療育や支援を継続的に行っていくことが大切になります。

薬による治療という点では広汎性発達障害そのものを治す薬はありません。しかし、睡眠や行動における症状が著しく、生活に支障をきたしている場合はその症状を抑える薬を服用することにより、生活がしやすくなる可能性があると考えられれば薬物治療を検討します。

思春期以降に不安・うつ症状がみられるようになった場合は、抗不安薬や抗うつ薬によって症状が改善することがあります。薬の服用に際しては問題となる症状の悪化を呼び起こす大きなストレスや、生活上の変化が無かったかなど環境面を併せてチェックし、その調整をおこなっていくことも大切です。